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ヤマタノオロチの謎/あさのひろみ
出雲神話に登場する「ヤマタノオロチの八つの顔」について様々な解釈がありますが、ここでは、主なものを八つとりあげます。
◎第一の顔 ヤマタノオロチは、神の没落した姿である。
民俗学者の柳田国男が「妖怪は零落した神々の姿だ」としている通り、ヤマタノオロチは、田の神、水の神として崇められていた蛇神が巨大な妖怪に没落した姿です。
◎第二の顔 ヤマタノオロチは、山賊の巨根であった。
「八雲立つ……」とは、「八蜘蛛断(やくもた)つ 出雲掟(やえがき) 妻ごめに 掟つくる その掟を」であり、女性を手ごめ(妻ごめ)にする山賊(八蜘蛛)を断罪する掟(おきて)をつくった記念の歌だったのです。
◎第三の顔 ヤマタノオロチは、斐伊川のことであった。
タタラによって砂鉄と分れた砂が斐伊川(ヤマタノオロチ)の川底に堆積して洪水をくり返し、稲田(クシナダヒメ)を侵したので、スサノオが治水工事を行なったのです。
◎第四の顔 ヤマタノオロチは、UFOだった。
八機の空飛ぶ円盤を出航させる巨大なUFOが、ヤマタノオロチに見えたのです。
◎第五の顔 ヤマタノオロチは、ウロボロスであった。
自らの尻尾に自ら噛みつく蛇ウロボロスは、カオスから自立した知が再びカオスをとり込む円環構造を象徴していますが、ヤマタノオロチとは、スサノオ自身のカオス性、“荒ぶる心”だったのです。
◎第六の顔 ヤマタノオロチは、スサノオの神秘体験であった。
ヤマタノオロチは、脳髄進化の過程で爬虫類であった時の記憶が投影されたスサノオの脳味噌に乗ってやって来たのです。
◎第七の顔 ヤマタノオロチは、文学的想像力の産物であった。
神話の作者は現と幻を往還して言語を操る者で、神話をリアリティのレベルに還元すると、巨大な妖怪も溶解してしまいます。
◎第八の顔 ヤマタノオロチは
実在した
。
恐竜が何らかの原因で突然変異を起こし、ヤマタノオロチになったのです。スサノオは恐竜絶滅の原因となったもの、地球磁場の逆転、小惑星の衝突などが擬人化されたものです。
また、コロボックル(蕗の下に住む人)には、アナコンダ級の大蛇がヤマタノオロチに見えたのです。「古事記」には、一寸法師の原型とみられる少名毘古那神が登場しますが、彼にとっても、顔が一つであろうと、八つであろうと、大蛇はすべてヤマタノオロチであったのです。
さて、みなさん、松江の山奥か宍道湖の底で、ヤマタノオロチの化石が眠っているはずです。いつの日か、誰かが化石を発見し、ヤマタノオロチの実在が証明されるでしょう。
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